デザインアイデアを閃かせる
今回のテーマは、自分にデザインアイデアを閃かせるにはどうしたら良いかです。デザインのアイデアが降ってこない。悶々としていているだけで時間が過ぎていってしまう。デザインの仕事をしているとこういった感覚に陥った経験は誰にでもあるではないかと思います。
アイデアを出す最も単純な方法は、目的やターゲットを再確認しつつ、類似のプラクティスを参考にするのが早いと思います。武道の守破離でいう「守」の部分で、先駆者の知恵により得られた型を忠実に守って再現するというやり方です。実際に優秀なデザイナーほどこの”守”の部分がしっかりとできていることは、プロのアスリートが競技に必要な部位の筋肉がしっかりついていてその筋肉の使い方もよく知っていることと似ています。既にトレーニングを積んだ経験豊富なデザイナーにとっては、一般的なデザインのお題であれば、アイデアをだすのに「閃き」までは不要なことも多いことでしょう。しかし、今回のテーマは「閃かせる」です。
デザインアイデアを閃かせる行動
筆者が知っている自分にデザインのアイデアを閃かせるための、比較的科学的と思える方法は、以下の2つの方法の組み合わです。
①真剣に考えたままキリの悪いところで中断する。
②少しボーっとする。
このを2つで①→②の順番で実行します。
これを組み合わせるとアイデアが降ってきやすくなる状況を自ら作り出せることを発見したときは、少し感動したのですが、なぜそうなるのかということを解説してみたいと思います。
真剣に考えたままキリの悪いところで中断
これはツァイガルニク効果と呼ばれるものです。何かを考えている最中に切りの悪いところで敢えて中断すると、中断している間も潜在意識の中で勝手に脳が稼働している。正確には、脳が未完了タスクを気にかけ続ける状態になり、認知リソースを占有している。ということらしいのですが、著名なクリエイターが、しつこく何日もかけて考え続ける理由はこれだと考えています。つまり納得のいくアイデアが出てきていないキリの悪い状態で作業を止めます。これで潜在意識の中で脳みそに勝手に考えさせておくようなイメージです。ディスプレイに向かって、悶々と考えているとそれだけで、かなり疲労が蓄積しますが、疲労を感じたら、そのことを認知して、ディスプレイから目を逸らす、或いは机から離れるといった具合いです。
少しボーっとする
アイデアが降ってきた瞬間は、ボーっとしていて何も考えていなかったという経験は、誰にでもあるかと思います。実際にボーっとしているときにアイデアが降ってくる確率が高いことが脳科学的には解明されているようです。何かの作業に没頭している。例えば、表計算ソフトを操作しているとそれに適した脳の部位に血液の流れが偏ります。言い換えると他の部位は血液が多少なりとも不足します。一方で、ボーっとしているときには、脳全体に血液がいきわたるようになり脳全体を使って考えられるようになるのだそうです。専門的には、この状態をデフォルトモードネットワーク(DMN)の状態に入ると表現するそうなのですが、このボーっとした状態であるDMNに入るとアイデアが浮かびやすいことが判っています。個人的には、しっかりそのような状態に名前がついていることにも少し驚いた次第です。
どのくらいボーっとするか問題
ボーっとしろと言われて私のなかで浮かんできた疑問は、どのくらいボーっとするのがよいのかでした。調べた結果の結論からお伝えすると、5分から10分くらいが良いようです。仮に15分以上、ボーっとすると、アイデアを出さなければならないという目的そのものを忘れてしまい、別のことを考え始めてしまったりすることが多くなってしまうそうです(確かに!)。また、オフィスで働いているのであれば、15分もボーっとしていると周りから見ると仕事していないようにも見えかねないですうし、アイツは大丈夫か?と見えそうなので少し危険です。ですので、アイデアを出すという目的で時間を切って敢えて、脳をリラックスさせるイメージでボーっとするように心がけましょう!(10分くらい)
とはいえ・・・
ボーっとすると脳みそに血が行き届いてアイデアが出やすくなるといっても、アイデアを捻り出すには、知識や経験と情熱を持っていることが大前提です。知識も経験も情熱もないのにボーっとすれば何とかなることなど、絶対にあり得ません。言うまでもありませんが、しっかりと基本的な努力や学習を怠らずにすることが最も大切で大概はそれで片が付きます。若かりし頃、私自身もそうだったので、”守”すら全く満足にできていないのに”破”や”離”ばかりに目を向けたくなる気持ちもよく判ります。しかし、守破離の「守」ができてない経験の浅いデザイナーが、アイデアを降ろすという言い訳のもと、DMNに入ってばかりいると、単に生産性が低下するだけになるリスクがあるのでご注意ください!
以上ご参考まで。