伝わる文を書くための法則 

誰かが書いた文を読んだ後に、「ふーん、あっそー。」となってしまった経験は誰にでもあるのではないかと思います。でも、何故そうなってしまうのか原因が判るかといわれると、なかなか難しい問題のではないでしょうか? 

この難しい問題のひとつの答えになるのではないかと思われる法則を偶然見つけたので、紹介したいと思います。この法則に出会ったのは「バナナの魅力を100文字で伝えてください」(著者:柿内尚文)という本の中で記されていたものですが、とてもシンプルかつ強力な法則だと感じています。その法則の中身は、何かを伝えるときには、「事実+感情」で伝えろという法則です。 
 
人に何かを伝える際、頭の中でビジュアル的にイメージさせられるか否かが、大事なポイントになるのだそうですが、ビジュアル的にイメージできるように文章を書きましょうといわれても漠然としていて、とても難しいのではないかと思います。この法則が強力であると考えているのは、この法則に従って、事実と感情を組み合わせて書くことによりビジュアル的にイメージさせることが簡単にできるようになってしまう点です。 

では、「事実+感情」とは、どういうことか?さっそく例をあげてみたいと思います。 

●事実のみ:「今朝、私は8時に家を出て会社に向かいました。」 

〇事実+感情:「今朝、私は気持ちよく、8時に家を出て会社に向かいました。」」 

事実のみの例では、「ふーん、あっそー」となってしまうのではないかと思いますが、事実+感情の例で「気持ちよく」という感情的な要素を加えたことにより、体調が良さそうだなとか、仕事を前向きでいるのかなといったビジュアル的なイメージも頭の中に湧いてくるのではないかと思います。 

もうひとつ例を挙げてみます。 

●事実のみ:「今日はAWSのデータベースの設定を行いました。」 

〇事実+感情:「今日はAWSのデータベースの設定を行いましたが、不慣れで苦戦しました。」 

事実+感情の例では、設定ミスや間違えを犯しているかもしれないと身構えることができますし、苦戦して大変だったであろうことはビジュアルとして想像がつくので、労をねぎらうこともできます。一方で、やはり事実のみだと、「ふーん。あっそー」になってしまいます。 

ここで、この法則である「感情」とは何かですが、私の解釈では、あまり客観的な事実ではなく個人の主観や感覚によってと捉え方が異なるものと理解しています。2つ目の例では、「不慣れで苦戦」は事実では?とも思えますが、人によってどういう状況が不慣れで苦戦なのか曖昧で、結局のところ本人がそう感じたことなので感情的(感覚的)な要素となります。 

また、この「事実+感情」で伝える法則は、キャッチフレーズなどでも有効なのだそうです。著書の中では、吉野家のよく知られている「早い、旨い、安い」が、例として、紹介されていたのですが、確かに「早い」と「安い」は事実で、「旨い」は主観的な感情的な要素です。 

この例からも判るように、Webサイトのキャッチコピーなどを検討する際にも応用が利きそうな汎用性の高いノウハウにも思えるので、なんかピリッとしないなと感じた際には、思い出してみるのもよいのではないでしょうか。 
 
以上ご参考まで。