レストルフ効果(孤立効果)

今回、紹介するレストルフ効果は、日本語で”孤立効果”とも呼ばれる効果です。何かというと、他とは違う要素は注意をひき印象にも残り易いという、直観的にも「そりゃそうだろう」という記憶のメカニズムです。ドイツの精神科医の名前より孤立効果のほうが明らかにピンと来やすいですが、ここは敢えて横文字を使ってインテリっぽく格好つけていきたいと思います。

レストルフ効果の例

まず「他とは違う要素は注意をひき印象に残り易い。」これは、どういうことか、具体例を見てみましょう。

えびいかあじさばたこぶりまだいひらめ

「たこ」が、瞬時に目に飛び込んできます。

他にも大きさや太さ、余白、文字の種類などでも変化をつけて孤立させることによって、そこの印象が残りやすくなります。ちょっとやってみます。

・えびいかあじさばたこぶりまだいひらめ

・えびいかあじさば  たこ  ぶりまだいひらめ

・えびいかあじさばタコぶりまだいひらめ

上記の3つの例でも「たこ」に目を奪われ印象に残るのは「たこ」のはずです。これがレストルフ効果ですが、組み合わせると更に強化されます。

・えびいかあじさば  タコ  ぶりまだいひらめ

もはや「えび」から順番に視線を移していくのが困難なレベルでレストルフ効果が発生しているのではないでしょうか?

レストルフ効果はどこまで効くのか?

レストルフ効果は、意図的に画面デザインに適用すると、視線が分散しないため、全体が引き締まって判り易くなり、ユーザの負担を減らす効果があります。次に挙げる事例は、レストルフ効果をデザイナーが意図しているかどうかは判りませんが、上手くレストルフ効果が効いていると感じられるアプリです。皆さんのスマホの中にもインストールされているかもしれないユニクロのアプリです。ユニクロと言えば、イメージカラーは赤ですが、アプリを開くと、トップページのファーストビュ―では、赤い色はロゴのみで、赤が際立っています。カテゴリ別の商品一覧ページに移動すると、赤は、ほぼ使われていません。唯一、商品一覧ページで赤い文字が使われているのは、特価商品の価格のみです。(特価商品は会社としても売りさばいてしまいたいのでしょう。) 商品の詳細ページに移動すると通常価格の商品ページでは、赤い文字が全く使われていません。なぜ価格も黒い文字で「カートに入れる」ボタンまで黒なのか。赤を使って目立たせてもよさそうです。ここをすこし掘り下げて考えてみます。商品を指定して閲覧しているということは、ユーザの興味の対象は商品そのものにあるはずです。しかし、もし文字やボタンに赤を用いると無意識のうちに先にそちらを注目してしまいます。つまり、ユーザの興味の対象と注目させられている対象にギャップが生じ、僅かな摩擦になるため、ユニクロのアプリのデザイナーは、あえて赤を使わなかったという仮説が成り立ちそうです。ユニクロのアプリは以前から洗練されたデザインのアプリだと感じていました。改めて注意してみてみると細部の色使いやフォントサイズや余白の使い方が計算しつくされているのがよく判ります。例えにあげた価格の文字の色、ひとつ取っても黒い文字にして必要以上に目立たせないことで、ユーザの思考に僅かな摩擦も生み出さず、洗練されたデザインを成立させていると感じてしまいます。

刺激を抑えた目立たせないデザイン設計

続いてデザイン作業をこなすことを想定し、注意しなければならないと考えていることを挙げてみます。例えば、ある会社のイメージカラーが赤であった場合、至るところに赤を配置してブランディングの一環とでも言いたげにイメージカラーの多用しているサイトやアプリはよく見かけます。しかし、イメージカラーをたくさんの散りばめてしまうことによって、レストルフ効果は発生しなくなります。するとユーザから見ると、あっちもこっちも色だらけになってしまうため、視線が分散してしまいがちになります。結果として、多くの要素を詰め込んでいるわけでもないのに、なぜかゴチャついた印象を与えてしまっているサイトやアプリもまたよく見かけます。このことから判ることとして、レストルフ効果の使い方として、別名の「孤立効果」通り、しっかり孤立させることが重要です。レストルフ効果を上手く用いるデザイン技法は、色をあちこちで使いたくなってしまう衝動をグッと抑えて、プロとしての自制心が要求されるデザインの技巧なのではないでしょうか。つまり、レストルフ効果の考慮は「目立たせる技術」であると同時に、刺激を抑え「目立たせない設計」の技術でもあります。


●おまけ 

ユニクロ以外にも、メルカリ(赤・水色)やタイミー(黄色)など、イメージカラーが即座に想起できるサービスがあります。これらに共通しているのは、面積としてはイメージカラーを多用していない点です。要所で効果的に使うことで、レストルフ効果を活かしながらブランドの印象も強く残すことに成功している好例と言えそうです。

以上、ご参考まで。