「Less is more」という思想
Less is more(レス・イズ・モア/少ないことは、より豊かなこと)は、ドイツの建築家であり、バウハウス最後の校長を務めたミース・ファン・デル・ローエによって提唱された言葉である。
“必要な要素だけで構成されたデザインは、より美しく洗練される” という引き算の美学であり、数々の名建築や名プロダクトを生み出してきた。
建築ではミース自身による「バルセロナ・パビリオン」や「ファーンズワース邸」、日本では安藤忠雄による「光の教会」など、その洗練された佇まいで訪れる人の心に静寂と平穏を与えている。
プロダクトデザインでは。ディーター・ラムスによる電化製品、インテリアデザインが特に有名だろう。彼のミニマムな世界観はappleの製品群にも強く影響を与えている。
筆者は友人の家で606 ユニバーサル・シェルビング・システム(1960年にラムスがデザインした棚をカスタムできるシステム家具)を見たことがあるが、どんな空間にも似合う万能インテリアで、一生使える普遍的な素晴らしいインテリアだと感じた。
初期のiphoneもシンプルでどこを押せば何が起こるかがわかりやすい、とても優れたUIUXデザインだった。現在は機能が増え、目的の操作へ辿り着くまでの導線も複雑になったように感じる。OSがアップデートされるたびに、かつての直感的な使いやすさを懐かしく思うことがある。
そしてレス・イズ・モアは建築やプロダクトだけではなく、あらゆるデザインにとってと大切な視点だと強く感じる。
先日あるUIデザインの仕事をしていて、ロゴにブルーを使っていたので、使用カラーを数色のブルーバリエーションとモノトーンに絞ってレイアウトを組んでいたのだが、どうもしっくりこない。
上司からアドバイスをもらい、ブルーを使っていた箇所をモノトーンに変更したところ、ロゴのブルーがとても美しく見え出したのだ。
自分の中では使用色を絞っていたつもりでも、さらに絞り込むことでレイアウトが洗練された体験だった。
これからもレス・イズ・モアの精神を意識しながらデザインと向き合っていきたい。