自分が “人” でなくなる音楽

音楽が好きでいろいろなジャンルを聴いているのですが、その音と目の前の景色がリンクする感覚を楽しみたいタイプなので、ライブに行くことにはそれほど興味がありません。
そんな自分が、毎回欠かさず通っているライブがあります。
Maher Shalal Hash Baz(マヘル・シャラル・ハシュ・バズ)という音楽ユニットが行う、インプロ(即興)ライブです。
バンマスの工藤冬里さん以外は毎回メンバーが流動的で、拙い管楽器やエレキギターを中心に、さまざまな “音" に出会うことができます。
時にはノイズが入ったり、ビニール袋のカサカサという音がしたり、傘を開け閉めする音が加わったり。ステージにダンサーが現れることもあれば、突然朗読がはじまることも。
決められた旋律や演奏はそこにはなく、誰ひとり予測できない音たちが、その場でつながっていきます。
演奏にはあえてリズムを不安定にしている瞬間もあり、そこに意図を感じてしまう人や、しっかり曲として聴きたい人にとっては、戸惑うことも多いライブだと思います。
けれど自分には、"そこに客はなく、自然だけがある" ように感じられ、自分自身も、道に咲く花や地面の石ころになったような気持ちになれて、それがとても心地良いのです。
今日はどんな景色で、私は何になるだろうか。
そんな気持ちで足を運べる、唯一無二のライブ。
これからも機会を逃さず、通い続けたいと思います。