YahooのUI、日本と海外でこんなに違う?UI比較から読み解く市場とユーザー習慣

最近、気になったことがあります。
それは「日本のYahoo!のUIが、他の国のYahoo!とまったく違う」ということです。

試しにアメリカ版や台湾版などと見比べてみたところ、日本だけが古いビジュアルスタイルを保っていることに気づきました。今回はその違いについて、UI/UXデザイナーの視点から考察してみたいと思います。


各国のYahoo!のUIを比較してみる

🇯🇵 日本版

  • 文字情報が多く、整體のフォントサイズはほぼ同じで、すべてのテキストは非常に読みやすい大きさ
  • アイコンのスタイルは、日本のユーザーに馴染みのある無料素材サイトのデザインに近いため、ユーザーにとって親しみや安心感を抱かせるデザイン
  • サービス一覧が画面の最左側に表示されており、Yahoo! JAPANが多機能なポータルサイトとしての豊富さを感じさせます。ユーザーはサイトにアクセスした直後に、自分の必要とするサービスを直接選択することができます。

🇺🇸 アメリカ版(または他の英語圏)

  • グリッドレイアウトやカードUIが取り入れられ、余白も多い
  • アイコンやフォントも現代的
  • コンテンツと文字情報はカードデザインを用いて階層化されており、非常に読みやすく視認性が高いデザイン。
  • ウェブページにアクセスすると、60%以上のスペースがニュース情報で占められており、ニュース閲覧を主目的としたポータルサイトのように感じられます。

🇹🇼 台湾版

  • 全体的なレイアウトは欧米のデザインフレームを採用しており、カード形式を多用しているため、日本のレイアウトに比べて余白が多く、見やすい構成となっております。見出しと本文の情報も階層構造で整理されており、視認性が高いです。
  • 日本のサイトと同様に、画面左側にはすべてのサービス項目が一覧で表示されています。トップページにアクセスすると、主にニュース情報が中心となっており、ショッピングモール関連の情報はそれに次ぐ位置づけです。
  • この構成から、台湾のユーザーはニュースの閲覧に加えて、ショッピング関連サービスの利用頻度も高いことがうかがえます。

なぜ日本だけがこのようなUIを維持しているのか?

いくつかの仮説があります:

  1. 高齢ユーザー層を重視しているため
     → 昔からのユーザーが多く、UIを変えると離脱してしまうリスクがあります。
  2. ニュースポータルとしての立ち位置
     → Yahoo!ニュースの存在感が強く、情報密度の高いUIが好まれます。
  3. 文化的な視認性の違い
     → 日本では「情報量の多さ=信頼感・安心感」と感じる傾向があります?

各国におけるYahooの市場的立ち位置と役割の違い

🇯🇵 日本:今でも“国民的ポータルサイト”

  • 検索シェア:Yahoo! Japan は Zホールディングス(旧ソフトバンクグループ)傘下として、Google に次ぐ検索エンジンシェア 2 位を維持しています。
  • 統合サービス:ポータルとしての存在感が非常に高く、Yahooニュース・Yahoo天気・Yahooショッピング・PayPay など生活に直結したサービスが統合されています。
  • 公共性:政府や自治体との連携(災害情報・防災マップなど)も多く、公共インフラ的な立ち位置も。
  • ユーザー層:ユーザー年齢層は高めで、特に PC 世代の 50 代以上に根強い支持。

🇺🇸 アメリカ:影響力は縮小し、特定領域に特化

  • 検索シェア:アメリカではかつて Yahoo も検索の巨人でしたが、現在は Google が圧倒的シェアを占有。
  • 特化領域:Yahoo はニュース・ファイナンス・メールなど特化領域で生き残るポジションへと変化。
  • コンテンツ信頼性:特に Yahoo Finance は投資家・金融系ユーザーに人気があり、コンテンツの信頼性で支持されています。
  • サイトの印象:ポータル型サイトというよりは「特化型メディア群」としての印象。

🇹🇼 台湾:Google優勢でも、ニュースと広告運営の多角化で生存

  • 検索シェア:台湾でも検索は Google が圧倒的シェアを誇りますが、Yahoo奇摩(Y!奇摩)は依然としてニュース・気象・生活情報で多くのユーザーに利用されています。
  • 広告運営の分担:Yahoo が Taboola 社の株主になり、Yahoo奇摩はこれまで通り検索連動型広告やトップページのバナー広告を運用しつつ、コンテンツ型ネイティブ広告は Taboola が配信を担当する形に。
  • SEO・メディア力:Google 検索で上位に表示されることも多く、強力な SEO 力と自社メディアとしての存在感を持っています。

おわりに

UI/UXデザイナーとして、私たちは常にユーザーの閲覧体験を重視しています。
しかし今回の観察を通して、「文化的背景を深く理解し、市場ニーズを咀嚼した上で、先を見据えた体験設計ができるか」という視点の重要性を再認識しました。
これはまさに、今の自分が力を入れて取り組みたい方向性でもあります。😎